遺言書には、主に「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類があります。
ここでは利用が多い「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」について解説してみたいと思います。

 

◇「自筆証書遺言」
全文(財産目録以外 ※1)を手書きし、自分で保管(法務局で保管する以外 ※2)しなければならない。
 決められた要件(日付、署名、押印)を満たしている必要がある。
 ※1 2019年1月13日施行の法改正で、財産目録については手書きの必要は無くなりました。
(パソコンでの作成、通帳等のコピーでも可能)
 ※2 2020年7月10日より、法務局が保管する制度がスタートしました。

◆「公正証書遺言」
公証役場(※1)で公証人が作成し、公証役場に原本が保管され、遺言者には正本・謄本が渡されます。
  ※1 出張制度があり、自宅や病院でも作成できます。

 

【比較】

 

◇自筆証書遺言

◆公正証書遺言

作成方法

財産目録以外はすべて自筆で作成する。

作成時は、公証人のほか、証人2名の立ち合いが必要。

遺言者が内容を口述し、公証人が作成する。

作成費用

一切かからない。

手数料がかかる。

保管方法

自分で保管するか法務局で保管する。

公証役場で原本が保管される。

相続開始後の検認

法務局で保管されている以外は、検認が必要。

検認は不要。

 

【メリット・デメリット】

 

◇自筆証書遺言

◆公正証書遺言

メリット

・手軽に遺言が作成できる。

・費用がかからない。

・法務局で保管すれば、偽造・変造・紛失の恐れがなく、検認が不要。

・秘密にすることができる。

・無効になることが基本的にない。

・公証人が作成するので字が書けない人でも作成できる。

・公証役場で保管するので偽造・変造・紛失の恐れがない。

・検認が不要。

・すぐに相続手続きを開始できる。

 

◇自筆証書遺言

◆公正証書遺言

デメリット

・形式、要件不備で無効になるリスクがある。

・自宅等で保管する場合には偽造・変造・紛失のリスクがある。

・法務局で保管された自筆証書遺言以外は検認が必要になる。

・検認の申立から完了まで1ヵ月ほどの日数を要する。

・字が書けなければ遺言書は作成できない。

・作成に費用がかかる。

・公証人のほか証人2名の立ち合いが必要。

・秘密にすることができない。

・作成に時間と手間がかかる。

・いつでもどこでも作成できるというわけではない。

 

「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」ではいろいろと違いがあります。
遺言書を作成する場合は、それぞれのメリット・デメリットを理解して遺言書の作成方法を決めることが大事です。
自筆証書遺言も法務局で保管できるようになり、従来よりも利用しやすくなっておりますが、
当方ではトラブル発生が少ない「公正証書遺言」での作成をお勧めしております。
遺言書の作成を検討されている方はご相談ください。